MEDICAL
RESEARCH
培養上清を用いた研究例
研究
アトピー性皮膚炎への効果
培養上清を患部へ塗布することにより、表皮のバリア機能の改善、ケラチノサイトへの分化促進、抗菌ペプチド発現促進を⽰しました。
重度のアトピー性皮膚炎でお悩みの方への効果が期待できます。
研究
急性肺障害に対する効果
培養上清を静脈注射することにより、エンドトキシン誘導性急性肺障害の緩和、NF-kB経路の抑制、好中球のアポトーシス促進を⽰しました。
研究
変形性関節症(OA)患者由来滑膜細胞への抗炎症作用
培養上清を投与することにより、炎症刺激下でケモカインとサイトカインの分泌を減らすことができます。
研究
炎症性疼痛への効果
培養上清を腹腔内に投与することにより、浮腫形成・熱痛覚過敏・血漿中の炎症性サイトカインTNF-αの濃度上昇が抑制されました。
研究
リュウマチ性関節炎への効果
培養上清を関節内に投与することにより、組織学的スコア・関節炎インデックススコアが改善し、血漿中の炎症性サイトカインTNF-αの濃度上昇が抑制されました。
培養上清を皮下注射もしくは関節に直接注射した結果、Th-1による自己免疫と炎症反応の抑制により、関節炎の症状が緩和されました。培養上清はタイプIIコラーゲンにより活性化された流入領域リンパ節の細胞を抑制しました。(ARTHRITIS&RHEUMATISM/Mario Delgado)
研究
欠損した歯周組織の再生促進
培養上清を浸透されたコラーゲンスポンジを欠損部位に移植することにより、CM濃度依存的に欠損部位の組織再生を促進し、炎症性サイトカインの産生を抑制させ、マクロファージ細胞株RAWにおける炎症性サイトカインTNF-αの産生が減少しました。
一部欠損した⻭茎と⻭槽⾻に培養上清を浸透させたコラーゲンスポンジを欠損部位に移植しました。4週間後、⻭槽⾻とセメント質の再⽣が良好であったことから、種々のサイトカインを含む培養上清は⻭周再⽣を促進することが⽰唆されました。(Biochem Biophys Res Commun/Takeharu Inukai,Wataru Katagiri,Ryoko Yoshimi,Masashi Osugi,Takamasa Kawai,Hideharu Hibi,Minoru Ueda)
歯のインプラント前に歯槽骨の増強が必要と診断された8人の患者を対象とし、歯槽骨増強のための培養上清投与の安全性を確認するために培養上清を染み込ませたコラーゲンスポンジを患部に移植しました。移植による局所および全身性の副作用は見られず、IGF-1, VEGF, TGF-β1, HGFなどのサイトカインの働きによって、移植患者全てにおいて、初期の骨形成が確認されました。また、患部における免疫系細胞の現象が認められました。(Head Face Med./Wataru Katagiri,Masashi Osugi,Takamasa Kawai and Hideharu Hibi)
研究
女性型脱毛症への効果
マイクロニードルローラーを用いて培養上清を頭皮に投与することにより、髪の密度・髪の量が増加し、1本1本の毛が太くなりました。
抜け毛・薄毛・細毛・ハリやコシの低下などでお悩みの方へ効果が期待できます。
乳頭は⽑髪の成⻑を調節する重要な部位であり、幹細胞を含む微⼩環境と相互作⽤しています。培養上清を⽪内注射した結果、⽑髪乳頭の休⽌期から成⻑期への移⾏を促進し、Lef-1、 Versican、Ptc-1、Gli-1といった⽑胞促進遺伝⼦の発現促進も⾒られました。以上のことから、培養上清は⽑髪乳頭細胞において、ジヒドロテストステロンにより抑制される遺伝⼦の発現を回復させ、⽑髪のサイクルと再⽣を促すことが明らかにされました。(Scientific Reports/Weidong Han)
研究
皮膚創傷への効果
創傷モデルマウスに培養上清を患部へ塗布することにより、HDFsにおけるコラーゲンとフィブリネクチンの発現を促進し、治癒を促進しました。(Journal of Dermatological Science/Jeong-Soo Park)
培養上清が創傷治癒に働くことが知られているが、皮膚線維芽細胞などエフェクター細胞への反応機序は明確ではありません。本研究では、培養上清に含まれるサイトカイン(EGF、PDGF-AA、VEGF、bFGF)とその効果について調べることを目的としました。その結果、前述4つのサイトカインが高濃度に含まれていました。皮膚ファイブロブラストの遊走はVEGF、 bFGF、PDGF-AAによって有意に促進され、細胞増殖はbFGF、EGFによって有意に促進されました。さらに、培養上清は単独のサイトカインよりも有意に細胞増殖と遊走を促進しました。(BioMed Research International/Jiajia Zhao,Li Hu, Jiarong Liu, Niya Gong, and Lili Chen)
幹部に培養上清を100uL滴下しフィルムでカバーしたところ、bFGF、VEGF-A、IL-6、IL-8の発現と分泌が、低酸素条件下で促進され、ケラチノサイト、繊維芽細胞、内⽪細胞の増殖と移動を促進し、内⽪細胞によるチューブ形成を促進しました。(Plos One/Shaohai Qi)
培養上清を染み込ませたメンブレンを創傷部位に貼付したところ、VEGFとTGF-1ßが分泌され、これらの因⼦が創傷治癒を促進しました。(Journal of Translational Medicine/Yang Wang)
糖尿病性の創傷は、血管新生の抑制、マクロファージの貪食作用機能障害、炎症反応の異常などの理由から、治癒が難しいことで知られています。創傷周囲に培養上清を皮下注射したところ、コントロールPBS投与に比べ治癒を有意に促進しました。培養上清は創傷部位のサイトカインを抑制することにより、血管新生の促進、アポトーシス細胞の除去、M2 マクロファージの浸潤に働くことが示されました。
(Journal of Dermatological Science/Akihiko Uchiyama,Sei-ichiro Motegi,Akiko Sekiguchi,Chisako Fujiwara,Buddhini Perera,Sachiko Ogino,Yoko Yokoyama,Osamu Ishikawa)
背中を創傷した動物に近⾚外線光を照射した場合と培養上清を腹腔内投与した場合とで創傷治癒の程度の⽐較を⾏いました。培養上清を投与した場合は、近⾚外光照射に⽐べて創傷治癒が促進されました。その際の創傷部位においてbFGFとSDF1の発現が上昇していました。(J Photochem Photobiol/Amini A et al)
研究
皮膚ケロイドへの効果
ケロイドは繊維芽細胞とコラーゲン繊維の過形成によって引き起こされる良性皮膚病であり、有効な治療法が存在しません。培養上清は、傷跡を残さない治療において重要な役割を果たすと考えられているが、ケロイドに対する効果はわかっていないので検証しました。培養上清はKFsに阻害的に働き、 抗アポトーシス性プロテイン BCL-2 抑制、プロアポトティック プロテイン BAX活性化を引き起こし、KFsのアポトーシス誘導に寄与することから、新たな治療戦略の一助となり得ると考えられます。(Stem Cell Res Ther/Ya Jiao, Xiao Wang, Jixun Zhang, Yongjun Qi, Hongmin Gong, Duyin Jiang)
研究
皮膚への美容効果
B16細胞を培養上清でインキュベートした結果、CM量依存的にメラニン合成およびチロシナーゼ活性が抑制されました。次に、メラニン合成に関与するタンパク質の量的変化を調べた結果、小眼球症関連転写因子およびチロシナーゼ関連タンパク質2 (TRP2) に変化は⾒られなかったものの、チロシナーゼおよびチロシナーゼ関連タンパク質1 (TRP1)は減少していました。メラニン合成に関与するタンパク質の発現調節因⼦と考えられるトランスフォーミング増殖因子-b1 (TGF-b1) を抗体を⽤いてブロックすると、チロシナーゼおよび TRP1の減少がキャンセルされました。以上の結果から、培養上清に含まれる分泌因⼦は、TGF-b1を介しチロシナーゼおよび TRP1を減少させることでメラニン合成を抑制することがわかりました。(Biological and Pharmaceutical Bulletin/Jong-Hyuk Sung)
UV照射前に培養上清を⽪膚に局所的に塗布することにより、ヒト⽪膚繊維芽細胞の増殖を促進し、UVによる細胞死を抑制しました。スーパーオキシドディスムターゼ活性およびグルタチオンペルオキシダーゼ活性阻害をブロックし、マロンアルデヒドの増加を抑制しました。以上から、培養上清はUVによる光⽼化から⽪膚を保護する能⼒を持ち、光⽼化予防に有効であると考えられます。(Biotechnology Letters/Bruce Z. Gao)
培養上清を25人の女性に1日2回、4週間塗布したところ、真皮線維芽細胞の活性酸素による障害を修復し、I型コラーゲンの産生を促進しました。またしわと皮膚のキメが改善しました。(S. J. Sohn et al.,Korea)